- ミュージシャンとアルバイト
音大や専門学校を出て、すぐ音楽だけで食べて行けるなんてことは、殆どありません。
どんなすごいプレイヤーもみんな通ってきた道、アルバイト!!
僕自身や、周りのミュージシャンがどんなアルバイトをしていたか?
バイト選びでのコツ、などを今回は書いてみたいと思います。
僕が高校生の時、それこそプロドラマーになろうと思ったぐらいの時ですが、その当時めちゃくちゃ人気だった"ハイスタンダード"というバンドがいました。
なんかの記事で読んだのですが、当時めちゃくちゃ人気のハイスタでさえ、デビューした当初は、楽器屋でアルバイトをしていたと書いてありました。
高校生ながらに、音楽で食べていくってことは並大抵のことではないのだな、、、と感じたのを覚えてます。
しかし本当かな??とも疑う方もいらっしゃると思います。
ハイスタと友達ではないので、聞いたわけではないのですが(笑)、プロになった今になってその話をしてみて、恐らく本当なんだろうと感じてます。
それぐらい厳しい世界ではあります。。。
実際、プロの音楽家でアルバイトをしている方も、多くいらっしゃいます。
バイトしてたらプロじゃないじゃん!なんていう方もいるかもしれませんが、僕はそうは思いません。
僕がバイトをしていようが、していまいが、僕の音楽は変わらないので。
その辺はプロの定義の話になっては来ますので、今回は書きませんが、要はそれぐらいミュージシャンって苦労しているんだよ、ってことです。
- 僕がしてきたアルバイト
とりあえず、僕がしてきたものを先に紹介してみたいと思います!
・梅ヶ枝餅屋さん
・コンビニ
・CDショップ
・ゲームセンター
・ラーメン屋さん
・ジャズライブハウス
初めてバイトをしたのが高校生の頃だったので、恐らく17才ぐらいかな?
それから25~6才ぐらいまではバイトをしてたので、約10年ぐらいはバイト経験があります。
梅ヶ枝餅というのは、知らない方も多いかもしれませんが、僕の住んでいる太宰府の名産のあんこの入ったお餅です。
僕が初めてしたアルバイトでもあるのですが、お正月、太宰府天満宮はものすごい人がやってきます。
その正月限定のアルバイトではありましたが、31日の夜から1日の夜までお餅をひたすら焼き続けますw
とてもキツく大変ではありましたが、お正月の10日間ぐらいで10万円ぐらい稼げました。
これはちょっと特殊なやつですね。
初給料でプラダの財布を買ったのですが、男子高校生がビビりながら岩田屋のプラダに入ったのは、今となってはいい思い出です(笑)
そのほかの物は、割とメジャーなバイトだと思います。
僕の周りでは、日雇いだったり、派遣のバイト、などもしている方も多かったですが、僕は割と同じところを長く勤めることが多かったです。
一番長かったのは、CDショップのアルバイトだったと思いますが、2~3年ぐらいやりましたね。
派遣のバイトなどの方が、好きな時に働けて融通が効きやすいので、ミュージシャンには良いと思いますが、僕の場合は割としっかりバイトして、店長やバイトのみんなに信頼を勝ち得てから、都合のつけやすい状況を作るようにしてましたね。
ちょっとずる賢く見えるかもしれませんが、僕の性格上、バイトだから手を抜いて仕事をするというのが、あまり出来なかったんですよね、、、
バイトはバイトで一生懸命やる!という風にしてたら、自然とそういう感じになっていきました。
- バイトを選ぶ際に、注意をしたこと
ここは結構重要かと思います。またこの記事を読んでいる方が一番気になるところではないでしょうか?
もちろん人によってケースバイケースではありますが、僕が気をつけたバイト選びのコツをあげてみます。
・まずいくら必要なのか?
お金があるに越したことははいですが、バイトばかりして練習する時間が無くなっては本末転倒です。
実家暮らしなのか?どこに住んでいるのか?などで必要なお金は変わってくるとは思いますが、ざっくりでもいいので、いくら必要か?を把握して、そこから逆算してそのためにどれぐらいバイトをしなければいけないのか?練習時間はどれぐらい取れるのか?を逆算しました。
僕の場合だと、学校を卒業して(学生中もバイトはしてましたが)、20~24才までは実家で生活をしてました。
実家暮らしであれば、正直携帯代と年金や健康保険等の税金、ガソリン代と車の保険代ぐらいしか固定費は掛からないので、お金は貯まりやすいです。
学校を卒業したのなら、生活費を実家に入れたりするべきでしょうが、僕はそこは親と話して貯金をさせてもらうことにしました。
"自立することがまず最初の目標だ"と思っていたので、自立が出来るまでに必要な物を実家にいるうちにある程度お金を貯めて買えるようにと考えました。
具体的には、まず車。
ドラムで仕事をする以上、必要不可欠だと思ったので、高校卒業と同時に免許を取って、車もすぐ手に入れました(運よく友達からもらえた)。
車を手に入れたのはいいですが、ガソリン代、任意保険代、駐車場代だけで月3万円ぐらいの維持費がかかりました。それとは別に車検代も2年に1回ありますしね。
今思えば勿体無いと感じますが、それでも車を持っていることと、それを維持し続けれた事は大事な事だったように思えます。
18から今まで、車を持ってない時期は一度もないですが、お金の勉強をするにつれて固定費の見直しはしてきたので、今では月1.5万円程度まで下げられてはいます。
次に機材関係。
ドラムセット、シンバル一式、これを揃えるだけでも中々お金が入ります。
楽器は上を見ればキリがないですが、プロとして仕事が出来るある程度の楽器は揃えておきたいと思いました。
シンバルに関しては、福岡にはあまり置いてなかったので、東京まで買いに行きました。その為の旅費も必要でした。
車と楽器、この2つがとりあえずメインだったとは思いますが、その他の支出としては、練習の為のスタジオ代(月¥5000)、携帯代、ライブハウスへセッションにほぼ毎日行っていたので、ライブ代(月¥20000ぐらい)、あと師匠にレッスンを受けてましたので、レッスン代が¥6000。
ざっくりとだと、月10万円ぐらいは最低必要だったので、それを目安にバイトを探しました。
・夜を空けれるバイト
基本的には午前中〜夕方ぐらいでの仕事で探してました。
ライブだったり演奏仕事は基本夜なので、夜はなるべくいつでも空けれる状態を作りたかったので。
とはいえ、そんなに毎日演奏が入る訳ではないので、無い日はスタジオで練習です。
僕は近所のスタジオが月会員というのをしてて、月¥5000で個人練習し放題でした!
もちろんバンド練習などが入ってなければなのですが。
なのでほぼ毎日のようにそのスタジオに居ましたね^^;
もしくはさっき書いた、毎日セッションが出来るライブハウスがあったので、そこもしょっちゅう行ってました(バックステージというお店です)。
なので、ライブが無い日はスタジオかバックステージのどちらかに夜は大体居ましたね。
若手の頃は突発的に急なライブのお誘いなどが多いと思います(トラだったり)。
そんな時にいかにフットワーク軽く動けるかは、若手ミュージシャンとしては特に重要です。
そのために派遣だったり、日雇いというのは都合が付けやすいとは思います。
ただ僕の場合、月10万円というある程度まとまった額を定期的に稼ぎたかったのと、バイト後の練習やライブ等の移動を含めて考えると、同じところである程度しっかり働いた方が効率が良いと判断をしました。
月10万円って、バイトだと1日8時間働いたとしても、18日ぐらいは必要なんですよね(時給¥700計算だと)。。週5ぐらいはバイトしてる感じ。
当時ライブも月10本ぐらいはしてたから、なかなかのハードスケジュールではありましたね。
若さかな?今は出来そうにないかも。。。
・スキルが身につきそうなもの
僕が一番長くやった、CDショップのアルバイト。
専門学校を卒業してすぐ始めたバイトで、フリーター、(一応ミュージシャンかな?)になってから、初めてしたアルバイトですが、これはもちろん少しでも音楽に関わる仕事が良いと思ったので選びました。
今思えば、良い選択だったし、面接も受かってラッキーでした(^^)
今でこそ、CDショップなどないから難しいでしょうし、そのほかだったら、楽器屋さんとか、ライブハウスとか、スタジオの店員とか、この辺がミュージシャンのバイトにとっては憧れだったり、人気のバイトでしょう。
競争率も高いと思いますので、運もあると思いますが、もしこの辺のバイトが出来るならオススメですね。
僕もCDショップのバイトの面接時は、30名ぐらいの応募があったと店長は言ってたので。音楽専門学校卒業で、ジャズが好きという経歴があったから、運よく受かったのでしょうがね(^^)
僕の話にはなりますが、そのCDショップで働くことで色んなことが知れました。
人気や流行りの音楽はもちろん、CDがどうやって販売されているのか?や、事務所やレーベルとお店の関係だったり、お店がどうやって仕入れや、CDを入荷しているのか?などなど。
当時僕も一応バンドでデビューしてて、CDを出してましたが、どういった流れでCDがお店まで行くのかなどの細かいところまでは分かってませんでした。
メジャーレーベルだったり、インディーズだったり。
今では自分のレーベルを立ち上げて、CDを作って販売もしている訳ですが、CDショップで働いていた時の知識は確実に役立っていると思います。
あとジャズのライブハウスでのバイトもしました。
これもオススメですが、ちょっとだけ気を付けないといけないところがあります。
これは以前師匠に言われたことで、今考えると僕も同じように考えることがあります。
ライブハウスでのバイトは、演奏をみれたり、聞けたりするので、勉強になるし、プロのミュージシャンとの接点も増えて良い面も多く、若手ミュージシャンにとって良いことが沢山のあります。
僕もそうでしたが、バイトをしながら、ライブが終わった後にアフターセッションなどで遊んでもらって、その時に自分の演奏を聞いてもらったりして、自分を売り込んだり、アドバイスを貰ったりしました。
その後実際に仕事を振ってもらったり、ライブに誘ってもらったりもしたのですが、ポイントは良いタイミングで辞めないといけないことです。
なんで??と思うかも知れませんが、誘う側のミュージシャン目線になると分かります。
若手同士とかなら問題はないのですが、こういう時は大体上の先輩ミュージシャンが拾ってくれて、仕事を振ってくれたりするものです。
その時に最初は良いですが、自分のバンドメンバーとして仕事をする際に、ライブハウスでバイトをしている子が自分のバンドメンバーとなると、やはり格好が付かないですよね?
そういう意味では、誘いづらくもなるのです。
必ずと言う訳ではありませんし、バイトしているからとか関係はなく音楽が大事だとは思いますが、ライブハウスでのバイトとなると、ミュージシャンやお客さんには知れ渡る事にもなります。
お客さんから見ても、いつもバイトしてる子が今日はライブをしてる、と言う感じで見られてしまいますよね。
ライブハウスでのバイトは良い面もありますが、プロでやっていくなら辞めるタイミングも結構重要だったりもします。
- バイトで稼ぐ1万円よりも、ドラムで稼ぐ100円を選ぶ
僕の体験談をメインに紹介をしてきましたが、バイトを選ぶ際のポイントとしては、
・どれぐらい稼がないといけないのか?を把握する
・夜空けられるバイトにする
・運が良ければ、スキルが身につきそうなバイトを選ぶ
こんな感じで僕は選んでました。
と言っても僕がバイトをしていた7~8年前とかですので、今はまた状況が変わっているとは思いますし、あくまで僕の考えるポイントではありますが、参考になれば幸いです。
また最後にこれもバイトをしながら気を付けてた事ですが、
"バイトで稼ぐ1万円よりも、ドラムで稼ぐ100円を選ぶ"
これは自分の中で意識をしていた事です。
若手の頃にくる話や、仕事なんて殆どノーギャラみたいなものや、交通費考えたら赤字だったりするものも、多くあると思います。
それでも僕は、赤字でもその仕事をする事によって、その時共演したミュージシャンと知り合えることや、そのライブを見にきてくれた人が、また別のライブに来てくれるようにとか、お店やスタッフの方と知り合えることの為に、フットワークを軽くしてくる仕事は断らずに受けるようにしてました。
全部が全部成功だったとは言いませんが、それでもバイトをしているより音楽のことで身になることは確実にあったと思います。
お金はバイトの方が稼げるかも知れませんがね。
と言うか、お金を稼ぐことをメインに考えるのであれば、そもそもミュージシャンなんて職業を選んではいけません(笑)
生活をする為に、お金は必要ですし、音楽で稼ぐんだ!とプロ意識を持って学んだり演奏する事は素晴らしい事だと思います。
ただ音楽というのは、お金の価値で良し悪しが決まるものでもありません。
矛盾するようですが、自分と音楽と向き合うということはそういう事なのかも知れません。
これからアルバイトを探すミュージシャンに参考になれば幸いです。
コメントをお書きください